特別な思い出と私を大人にしてくる腕時計

私19歳の頃初めて訪れたブランドの免税店に立ち寄りました。

その時にすごく一目ぼれをしてしまったアクセサリー時計に出会いました。

その頃は月収以上の高価な時計で購入することすら無理でした。

ショーケースに入ったキラキラ光るその腕時計はその頃の私には豚に真珠の様な物で

いつかこの腕時計が似合う女性になりたいと妄想までしていました。

当時付き合っていた彼氏がいたのですが、貧乏カップルだったので贅沢なデートもできませんでした。

勿論その腕時計の事も話していました。

たまにお店に行ってはショーケースを眺めるだけで充分でした。

21歳の時にその彼が仕事で遠方に行く事になり4年ほど付き合ったのですが

遠距離に自身もなく一緒に付いて行く勇気もなく別れる事になりました。

喧嘩別れでもなくお互い頑張ろうと前向きなお別れでした。

最後のデートの日に朝から夜までいつも通り何をする訳でもなく家で過ごしました。

帰る際はさようならも言わずに出て行った彼氏を見送れずに寝たフリをしていました。

玄関に置かれた袋が目に入って手に取り開けてみると

それは、ずっと欲しがっていたあの腕時計でした。

泣かないと決めていたのにその瞬間涙も止まりません。

“この時計が似合う女性になって”とメッセージがありました。

それから10年以上経ちますが今でも特別な日やお祝いの時はその腕時計をします。

あの頃より大人になり

あの頃よりは似合う女性になれたと思います。

大切な思い出と一緒にこの時計と私は大人になりました。