私の青春と共に一緒に時を刻んでくれた腕時計

その腕時計を買ってもらったのは小学2年生の頃です。

当時はどちらかというと裕福とは言えない家庭で、服や学校で使う物はほとんど姉からのおさがりばかりでした。

子どもながらに新しい物ばかり身につけている姉が羨ましいとずっと思っていました。

夏休みに旅行へ行き(旅行と言っても隣県に車で遊びに行くぐらいのものでしたが…)普段食べない美味しい物を食べたり観光地を廻ったりして楽しみました。

その時に買ってもらったのが私の名前入りの腕時計です。

○○ちゃんと名前が入った下にデジタルで時間が表示され、ピンクのベルトにはペンギンの絵が描かれていました。

お土産屋で見つけたどこにでもあるような時計でしたが、私はどうしてもその時計が欲しくて父にねだって買ってもらいました。

父もこんな時にしか買わないだろうからと買ってくれたのだと思いますが、初めておさがりではない自分の物を手に入れた私は嬉しさで泣いてしまいそうでした。

その時はまだベルトもブカブカだったので端に穴を開けてもらいつけていましたが小学校を卒業する前にはキツくなり、またデザインも子どもっぽかったので着けずに机の引き出しにずっとしまっていました。

単なるおもちゃだと思っていたのですが不思議なことにその時計は何かしら節目の時に出てきて、私に何か訴えかけるように時を刻んでいるのでした。

中学校を卒業する時や、父が単身赴任で遠くへ行ってしまった日、私が高校を卒業して家を出て行く時など。

普通に考えれば電池が切れてしまってもおかしくないのですが、見る度にキチンと正確な時間を刻んでいました。

不思議なその時計をどうしても捨てられずにいましたが、私が結婚した後からその時計は見つからなくなってしまいました。

初めて自分の物として買ってもらった腕時計。もしかしたら私のことをずっと見守ってくれていたんだろうなと思うととても嬉しく、少し寂しくも思います。